私が日本経済に漠然と不安を感じる理由

こないだ実家にいる親父と話をしていて、何か漠然と感じたものを適当にまとめてみる。まとまってないかもしれないけど。


以下長々と書いていますがまとめると「繊維業界と現在の機械電機産業を重ねると、日本企業が製造を海外に持っていってから、そのセクタ全体が衰退を始めているんじゃないか?」という話。




皆さんも肌で感じているように一部の高級なモノ以外、衣類のほとんどが中国もしくは他のアジア圏で製造されております。
つまり流通・物販以外の繊維関連業は、日本においてはほとんど無いといって過言ではないでしょう(あるとするなら必ず中国等海外に出先がある)。


私の実家は小さい町工場ですが繊維加工業を営んでます。
まぁ、正直ほとんど儲かっていない。(若干儲けがあるのが奇跡なくらいだ)
長男である私が社長である父に「もう少しで廃業するからお前、跡を継がなくて良いよwww」と宣告されるくらいなわけで。
私の経営者としての能力が足りないとかいう前提の前にコレだから。俎上にも乗らないってやつです。
何せ実家の会社の取引先は、販売先もそうだが仕入先もドンドン廃業もしくは潰れていっている状態で、安定して右肩下がりという見た目お先真っ暗なであるのだから。


さて、個人的な状況は差し置いて現在に至る繊維業界の歴史を自分が感じたイメージで説明したいと思います。
ソースは私と私の親父ですので、かなりザックリで嘘もあるかもしれません。サーセンww


第二次世界大戦以前より日本は生糸,紡績,服地・部品の製造,染色,製品の製造まで一貫して行い、高度成長期まで日本を支える基幹産業であり続けました。
その証左として現在でも東証に紡績やらの繊維関係の企業が上場しています*1
大体30〜40年程度前でしょうか、他の製造業(機械,電子,電機関連…今の基幹産業ですね)が強くなり始めた時期と同じくもしくはオーバーラップ気味に繊維業界はほぼピークアウトしていきます。


ピークアウト…といっても、それまでの日本の産業における繊維関係の重要度はとてもすごく、「ガチャマン*2とよばれるくらいべらぼうな利益を日本に生んだわけです。
特に戦前戦後において愛知県一宮市は紡績業の集積地であったのですが*3、現JR・当時国鉄尾張一宮駅には九州や東北から出てきた働き手の若者で混み合っていたという話を聞きました。


その後(20年くらい前でしょうか)、少しずつ繊維業界の規模が小さくなっていく中、体力と行動力があった繊維業の一部は、大規模な労働集約が可能な中国という国に目を付け進出していったのです。
繊維業界にとって中国は約束の地であったのかもしれませんね…。


そんなわけで、約30年程度前から一貫して右肩下がりの日本の繊維業界(製造・加工)。
もちろん、前述のとおり繊維関連業を営む自分の実家(一宮市にあります)も25年前に起業して、10年程度はかなり調子が良かったですが、その後は萎んでいっています
ちなみに現在の一宮市名古屋駅までJRで20分という利便性も手伝って見事なまでに名古屋のベッドタウンとなりました。
(余談ですが、岐阜市大垣市まで名古屋市の通勤圏内の為、「県庁所在地である岐阜市は名古屋のベッドタウンで良いのか!」と岐阜の偉いさんが言ってたような気がします)


で、本題ですが。
実家の会社から察するに、取引先が中国に進出していってしばらくしてから衰退(実家の業績もそうですが取引先の業績も)が始まっています。
これから察するに、繊維業界というセクタが衰退していくタイミングで、日本でやってきた製造・加工という業態が海外へ移転しています。

まぁ、ここでそのときの判断をされた各企業の経営者を批判するつもりはサラサラありません。彼らも座して死ぬことはしたくなかったでしょうから。


転じて現在の日本はどうでしょうか。


日本の製造業は機械・運送機器(トヨタとか),電機・精密機器(キヤノンソニーとか)を代表する企業が競争力を持ち世界を有る程度席巻しています。
しかし、これら企業の製造や加工などの業態は海外へ依存していることが多くなってきました。
特に労働単価が安く,その労働単価の安い人員が大量に居る中国はそれら製造業にとっても約束の地となってきた感があります。
これらの日本の製造業が中国へ本格進出してから…どうでしょう、もう10年程度になっていると思います。


繊維業がたどった道をなぞれば、もう日本の製造業は衰退を始めていて、あと10〜20年で一部の大企業を除き、廃業もしくは廃業の危機にさらされていると思います。中小企業は軒並み危うくなっているのかもしれません。


つまり、20年もすれば日本の機械や電機機器のセクタ自身の規模が現在より大幅に縮小しているのではないか?と。


あまり当たってほしくないんですが、もしこれら現在日本が胸を張って世界に誇る「ものづくり」が縮小していくと仮定していくとするなら、この衰退した穴をどこのセクタが埋め合わせるのでしょうか?
IT?バイオテクノロジーコンテンツ産業?エコ産業?


それは私にも分かりません。
しかし、ただなんとなく親父が置かれた状況を見ると、「そのとき」が来たときに私が克服できるかという不安があります。
それまでに何を準備できるかは分かりませんが、色々と勉強をし続けようと思う今日この頃です。

*1:が、もちろんこれらの企業は別の業態にほぼ転換済みと思います。どちらかというと生き残っている上場企業は繊維→化学の転換が多いでしょうか。東レ帝人あたり

*2:機織の機械が一度「がちゃっ」と音を立てると1万円の儲けが出るという意味

*3:毛織業の集積地であった旧尾西市…現在は一宮市の一部…も含めます